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社寺の賽銭箱守る 目立たぬ場所に監視の目。1993.10.28中外日報
センサーや防犯カメラ 放火犯、すぐキャッチ ㈱セキュリティハウス開発の新兵器
平成二年は即位の礼・大嘗祭(だいじょうさい)などが行われ、放火など、皇室ゆかりの寺社・仏閣を狙った犯罪行為が頻発した年であった。当時、皇室の弥栄を祈って「一神社一奉賛事業」の実施を推進していた神社界。その中には、記念事業として神社に大掛かりな保険をかけることを決意した宮司さんもいた。
また、賽銭箱をいかに守るべきかも話題となり、「わずかなお金を盗られるより賽銭箱を盗まれる方が痛い」「何十万円もするステンレスの賽銭箱を買って、チェーンでつないで盗難に備えたが、斧で一刀のもとに壊された」など、賽銭泥棒による被害は相変わらず続いた。
「結局、毎日お賽銭を回収して賽銭箱をほとんど空にしてみせるしかない」とあきらめた神社も多かったが、このような犯罪行為から神社を守るために、境内・社殿の総合的な防犯監視システムの構築が、改めて構築された時期であった。神社・仏閣にいかに防犯システムを導入するか。防犯機器を導入したことがない社寺には、何を採用すればよいのか、全く分からないというところも多い。
そのノウハウについて、大阪府吹田市の㈱セキュリティハウス・センター広報係長の植村光代さんは「各神社の条件にあった独自のシステムを構築することが大切です」と語っている。
「例えば神社でも、様々な立地条件や宮司さん、禰宜さんの考え方によってシステム内容が変わってきます。境内が広い神社、社務所から境内が見渡せる神社、社殿・建物が離れている神社など、個々の神社に最適のシステム選定を専門家と話し合うべきことを強調する。
セキュリティハウス社は、官公庁の施設をはじめ、全国約200社の有名社寺に防犯システムサービスを提供しており、神社でのシステム構築のノウハウも充分すぎるほど蓄積している防犯機器設置の専門家集団である。
日常的に参拝者を受け入れる神社であるから、参拝者に不快感を与えないように考えられている。
「神社仏閣向けの侵入警戒、防犯システムは、賽銭箱が動いたことを検知するシステム、仏像や重文の宝物のあるところに侵入者があったことを知らせる、気づかれにくいシステム、火災が起こったとき氏子の家に電話してメッセージを送るものなど、独特なものになります」
特に防犯用カメラには、一見してそれとは分からないカプセル型のものが使用され、また単なる金属の飾り柱と見まがうようなカメラなど、カメラと分からない工夫がなされている。
さらに最新のシステムで好評なのが、参拝者が境内に訪れたとき、自然に参道に照明が灯るというもの。本堂までの道をやさしく照らす同システムは、電気代の節約効果も大きく、防犯の役目も果たすとして既に神社・仏閣で採用されている」。参道を訪れる人を感知したセンサーがカメラを起動、それとは分からないカプセルカメラが参拝者を確認し、人が近づくと照明を照らしたり、場合によっては「これより先の立ち入りはご遠慮ください」とのメッセージで犯罪行為を未然に防ぐ。
参拝者も道が明るくなることで自分が認知されたことを知り、犯罪やイタズラ行為を防げるというわけである。
もうひとつ大切なこととして「防犯防災システムを設置した後、きめ細かなメンテナンスが必要となってきます。例えば感知システムが誤報を行った時、何がおかしかったのかを現場で検証しなければなりません」と植村さんが語るように、高度なシステムを導入すれば、導入後の充分な指導が必要とされる。
警報盤の異常が判断できない場合、電話の対応だけでは問題点が分からない場合も多いのである。
同社は全国に76店舗の営業店を持ち、システムの施工からアフタケアまでを地元業者が行うことができる。
既に全国各地の有力神社の安全を守り、規模に応じた独自のシステムを提供するノウハウには定評があるところ。
植村さんは「神社・仏閣にも お守 は必要。火災・不法侵入・盗難・破損を未然に防止し、美観を損なわずに安全を見守るカメラシステムを中心に、防犯システムを作りあげるのが有効と思われます」と続ける。
年末・年始を前に、神社への積極的なセキュリティー指導を行っている㈱セキュリティハウス・センター。「安全のない安心は最も危険である。安全のある安心は最も快適である」をコンセプトに、宗教者が安心して仏事や神明奉仕に従事できる環境を作り出すよう、新設かつ丁寧な相談を続けている。