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神社を守る セキュリティの現場から⑤ 2005.2.3中外日報
火災に備えて 危ないこの季節 油断ならぬ放火
空気が乾燥し火災が発生しやすいこの季節。冬は一年でもっとも放火による被害が多い時期でもある。
実際、放火による火災は毎年増加し、七年連続で火災発生原因の一位となっている。その比率は、放火の疑いも含めると25%にも及ぶ。
神社・仏閣に限ってみても、放火による被害は決して小さくない。
消防庁防災情報室の調べによると、平成十五年の一年間に神社・仏閣で発生した火災は137件。被害額は9億5782万4千円に達する。内訳は放火によるものが28件・約5650万円、放火の疑いが36件・約2億円、原因不明のものが25件・約5億3千万円などとなっている。
また、寺社のほとんどが木造建築のため、気づいた時には手がつけられないといったケースが多い。重要文化財はもちろん、大切なッ仏像や神体、過去帳などに被害が及ぶとなると、損害は補償できないものばかりで、その損害は計り知れない。
現在、消防法により神社・仏閣にはスプリングクラーの設置が義務付けられているが、感知器が作動した時にはある程度火の手があがってしまっているのが現状といえる。
そこで、被害を最小限に抑える上で重要なのは、未然に火災を防ぐこと。最近になって「炎検知センサー」や「防災用センサー」などの導入事例も増えている。
炎センサーは、炎に含まれる紫外線を検知・警報する機器。10m先の7㎝の炎を検知できるものもあり、火の手が上がる前の対応が可能になる。一方、消防用センサーは、熱や煙、ガス、一酸化炭素などを検知、音声やブザーで警報を発する仕組みになっている。
また、炎検知センサーには自動的に「禁煙」や「火気厳禁」といった音声メッセージを発する機種もあり、人気が少なく燃えやすいものを置いてある場所などに設置すると効果的だ。
屋外設置用に防水加工を施したものから屋内用まで多様な用途に応じたさまざまな機器が、各社から発売されており、導入先の寺社からは設置による抑止効果を評価する声も聞かれるという。
放火など火災から寺社を守るためには、燃えやすいものをできる限り屋外に放置しないといった予防策だけでなく、機械警備の導入も十分な効果が期待できる。炎センサーや防災用センサーなど各種検知器のほか監視カメラ等を併設するといった手段で、総合的に防犯効果を高めることもより効果的といえる。
其々の実情に応じ有効な火災・放火対策を導入し、火はおろか煙さえも立たないような対策を講じたい。